バイクの引き起こしが苦手な人、多いですよね?特に体力に自信のない方やバイク女子の中には、立ちゴケしてしまった後の引き起こしがネックとなって、せっかく購入したバイクに乗らなくなってしまった方もいるとお聞きしています。確かに体力・筋力は多少必要ですが、コツさえ掴んでしまえば、バイクの引き起こしはそれほど難しいことではありません!

この記事でわかること

1. バイクの引き起こしができない原因

①焦ってしまいパニック状態に陥ってしまう

バイクを倒してしまい焦ってしまう気持ちはとても良く分かりますが、パニック状態では起こせるものも起こせなくなってしまいます。

②ギアがニュートラル「N」のまま引き起こそうとしている

ギアが入っていない状態で引き起こそうとすると、タイヤが回転してしまうためバイクが動いてしまい引き起こしにくくなってしまいます。

③腕の力だけで起こそうとしている

僕も腕力だけではビッグバイクは起こせません。身体全てを使うイメージで引き起こしてみましょう!

④車体から身体が離れてしまっている

引き起こしの方法は何種類かありますが、基本的にバイクと身体は密着させる、または近付けて引き起こすことが大切です。

⑤力の入れ方・方向が間違っている

バイクは倒れた状態から45°くらい起こすまでが力が必要です。そこまで一気に起こすと後はあまり重さを感じなくなって楽に起こせます。

カーブの途中など路面がパンク(傾斜)していると平らな場所よりも引き起こしが重く、起こしにくくなります。なるべく力が必要ない方向に引き起こすことも大切です。路面状況を冷静に観察してください。

2. バイクを引き起こす前の準備が大切!

①安全な場所に避難して落ち着く

車道では車両進行方向(後方)に背を向けないことが大切です。二次災害防止のため後方の安全確認をしながら、まずは自分の身の安全確保を行ってください。歩道やガードレールの外側に避難しましょう。

安全な場所に移動したら落ち着いて冷静になるために、深呼吸を2回以上してください。

②周囲の安全確認も忘れない

落ち着いたらバイク周囲の安全確認と路面状況をよく観察して、引き起こす向き、方向を決めてください。

③サイドスタンドを立てる

バイクが右側に倒れている(サイドスタンドの逆方向)ときはサイドスタンドを出してください。その際、ストッパーに当たるまでしっかりサイドスタンドが出ていることを確認すること。特に下り坂などでは注意してください。せっかく引き起こしに成功しても勢い余って反対側に倒してしまうことを防止するための措置です。

左側に倒れている場合は、引き起こしているバイクの重さが感じられなくなったら反対側に倒さないよう慎重にサイドスタンドを出してください。

サイドスタンドをかけたらハンドルを左側(サイドスタンド側)に切るとバイクが安定します。

④ギアをローに入れる

ギアがニュートラル状態だと後輪タイヤが回転してバイクが動いて不安定な状態になり、引き起こしにくくなってしまいます。

ギアはロー(1速)に入れて車体を安定させましょう。

⑤バイクに荷物を積んでいる場合

長距離ツーリングの途中などで荷物をたくさん積載していると引き起こしに苦労します。重量物やツーリングバックなどは降ろす・外すなどして、なるべくバイクを軽い状態にしましょう。たったそれだけのことで引き起こしが楽になることもあります。

3. 引き起こしの方法

ここで引き起こし方法4種類のコツを伝授しますが、以下の3つは全てに共通するコツです。

  • 腕ではなく脚力、腹筋、背筋を使って起こす
  • 猫背にならない(力が入らないばかりか腰を痛める原因となってしまいます)
  • バイクが完全に倒れた状態から45°くらいまでは一気に引き起こす(失敗して何度も起こしていると疲れてしまい引き起こせなくなってしまいます)

4. 女性でもできる!バイクの引き起こしのコツ2種類

これから紹介する引き起こし方法2種類は小柄な方、筋力に自信の無い方、女性にオススメ。

これであなたもきっとビッグバイクを引き起こすことが出来ます!

両手で片方のハンドルグリップを握る方法

この方法はテコの原理を使い最小限の力で引き起こせること、後方の安全確認・目視をしながら引き起こせることです。

ステップ①

バイクが倒れている逆方向にハンドルを全部切ります。(ストッパーが当たりハンドルが動かなくなるまで切る)

ステップ②

自分の立ち位置は地面側のハンドルバーの延長線上あたりに正対して両手でグリップをしっかり握れるところに立ちます。両足は肩幅くらい開きます。その体勢から両膝を曲げて両手で片側のハンドルグリップをしっかり握ります。

  • 猫背にならないよう良い姿勢で胸を張ってください。
  • お相撲さんの立ち合い前の蹲踞(そんきょ)をイメージしてください。

ステップ③

ハンドルを持ち上げて前後輪が接地したことを確認してください。車体が安定して引き起こし易くなります。ここまで出来たらバイクが軽く感じる状態まで一気に引き起こします。

  • 腕力で持ち上げるのではなく背筋と膝を伸ばす力で引き起こします。
  • 自分からバイクに歩み寄るイメージで!

ステップ④

バイクが起きてくるととても重く感じるところがあります。そこさえ我慢すればスッと軽くなるので頑張りましょう!あと少しのところで動きが止まってしまったら、ベルトのバックル辺りの下腹部でグリップエンドを押すと引き起こしの助けになります。

ステップ⑤

左側に倒れていた場合は引き起こしに成功したら慎重にサイドスタンドを出してください。下り坂などで出し方が中途半端だとタイヤが少し動いただけでバイクが倒れてしまいます。

バイクを引っ張りながら引き起こす方法

この方法は両手で片方のハンドルグリップを握って引き起こす方法の変化形です。違いはバイクに背中を向けて引き起こすことです。この方法のメリットは腰をバイクに付けて引き起こせるため背筋と足の力を最大限有効に使えることです。コツさえつかめば最も楽な方法です。

左右どちらでも出来ますが初心者の方はあらかじめサイドスタンドを出しておける右側からの引き起こし限定が良いと思います。

ステップ①

バイクが倒れている逆方向にハンドルを全部切ります。(ストッパーが当たりハンドルが動かなくなるまで切る)

ステップ②

自分の立ち位置は地面側ハンドルグリップ横に「後ろ向き」で両手でグリップをしっかり握れるところに立ちます。前輪側、タンク側どちらに立っても良いです。バイクの形状やご自分の引き起こし易い位置を確認してください。

両足は肩幅くらい開きます。その体勢から両膝を曲げて両手で片側のハンドルグリップをしっかり握ります。

  • 猫背にならないよう良い姿勢で胸を張ってください。
  • お相撲さんの立ち合い前の蹲踞(そんきょ)をイメージしてください。

※ここまでは身体の向き以外、両手で片方のハンドルグリップを握る方法と同じです。

ステップ③

ハンドルを持ち上げて前後輪が接地したことを確認してください。車体が安定して引き起こし易くなります。

  • バイクが軽く感じる状態まで一気に引き起こします。
  • 腕力で持ち上げるのではなく背筋と膝を伸ばす力で引き起こします。

ステップ④

バイクが起きてくるととても重く感じるところがあります。そこさえ我慢すればスッと軽くなるので頑張りましょう!腰をタンクまたはフロントフォーク上部に当てて両手でハンドルグリップをしっかり握ったまま、後ろにのけ反りながら少しずつ後ろ向きで歩きます。バイクに後ろ向きで近付いていくイメージです。

ステップ⑤

左側に倒れていた場合は引き起こしに成功したら慎重にサイドスタンドを出してください。下り坂などで出し方が中途半端だとタイヤが少し動いただけでバイクが倒れてしまいます。

5. 大型にも使えるバイクの引き起こしのコツ

腰を支点にしてバイクを引き起こす方法

両手で両側のハンドルグリップを握る方法です。教習所で教わる引き起こしの基本です。

体力のある男性であればバイクをすぐに起こすことが可能なのですが、バイクの重さが身体にモロにかかるので、小柄な女性にとっては難易度が高い方法です。

ステップ①

両手でハンドル左右のグリップをしっかり握ります。このときハンドルは前輪を真っ直ぐの状態にした方が起こしやすいと思います。

ステップ②

ガソリンタンクやシート付近に腰(体側)を密着させ、またはさせながら引き起こします。

ステップ③

両足は「カニ歩き」で少しずつ横移動します。このとき腰がバイクから離れないようにしながら全身を使って起こしていきます。

体重移動でバイクを引き起こす方法

ハンドルグリップとタンデムグリップ・バー・バンパーなどを握る方法です。この起こし方の方が両手でハンドルグリップを握るより身体全てを使って前に押すので、力が一方向に集中しやすく、引き起こしやすいと感じる方も多いでしょう。

ステップ①

片手はハンドルグリップ、もう片方の手でシート後部付近の握りやすいグリップ・バーなどをしっかり握ります。このときハンドルは真っ直ぐ、またはバイクが倒れている方向に切っておきます。起こしやすい方を選択してください。

ステップ②

胸部をガソリンタンク・シートに近付けるまたは密着させて全身を使って引き起こします。このとき猫背にならないように顔を上げて胸を張った姿勢で引き起こすようにしてください。

ステップ③

少しずつ前に進んで歩く要領で引き起こしていきます。

ステップ④

ビッグバイクを起こす変化形として「後ろ向きでシートにお尻をつけて起こす」方法がありますが、この方法は予めサイドスタンドを出せる状態、すなわち右側に倒れた場合のみの引き起こし方法になります。この方法も全身を使って起こすことができるのですが、バイクに後ろ向きで、最後はサイドスタンドに全てを委ねる体勢になり少し不安なので僕はあまりオススメしていません。

6. バイクの引き起こし方法を動画でチェック!

ここまでご紹介した引き起こしの方法を動画で実演解説しているので、ご覧いただきイメージトレーニングに使っていただければと思います!

バイクがどうしても引き起こせない場合

引き起こしに何度も失敗すると筋肉に乳酸が溜まり身体が疲労してしまい、引き起こし不可能になってしまいます。

安全な位置に移動してから走ってくる車やバイク、通りがかりの歩行者に助けを求めてください。両手を大きく振ってください。大声で助けを求めるのも有効です。恥ずかしいことではありません。

後続車両の衝突など二次被害防止のためバイクを引き起こせないと判断したら危険な状態を出来るだけ短時間で解消するのが得策です。

特に夜間であったり、見通しの効かないカーブの途中などは大変危険な状態と言えます。

万が一に備えて発煙筒、三角表示板、懐中電灯、反射材を身に付けておくことをオススメします。(高速自動車国道及び自動車専用道路上の故障、ガス欠などでバイクを駐車する際、三角表示板を表示していないと違反切符を切られてしまいますし、何より表示しないと自分自身が危険にさらされます。)

7. バイクを引き起こした後にエンジンがかからない場合の対処法

バイクが転倒しエンジンが停まってしまった場合、オイル漏れを起こしている可能性もあるため、むやみにエンジンを始動させないよう注意しましょう。

エンジンが停止する原因はキャブレターとインジェクションによって異なるので、それぞれ解説します。

キャブレター車でエンジンがかからない原因と対処法

キャブレター内のフロートからガソリンが漏れることにより、燃焼室にガスが混入している可能性があります。また、ガソリンタンクから燃料が漏れ、プラグが被ってエンジン始動ができないことも考えられます。

キャブレター車の対処方法

ガソリンが漏れている場合、原因の箇所をウエスでふき取り、再度漏れてこないかを確認します。また、バイクを起こしてから3~5分程度時間を置くと、キャブレターフロートの油面が落ち着きます。フロートの油面高が落ち着いたらキルスイッチをオンにして、エンジン始動を試してみましょう。

※このときのコツとしてチョークはオフ、アクセルは全開にしてからエンジン始動するとかかり易くなります。

インジェクション車でエンジンがかからない原因と対処法

インジェクション車は角度センサーが搭載されているため、一定の時間、危険防止のためにコンピューター制御がかかり、電源を強制的に遮断していることがあります。

インジェクション車の対処方法

ガソリンの漏れがないかを確認したら、キルスイッチとキーをオフにし、完全にエンジンを停止状態にします。そして再度、キルスイッチとキーをオンにして、エンジン始動を試しましょう。ほとんどのインジェクション車の場合は、この作業で角度センサーが解除され、エンジンが始動出来ます。

※センサー類の損傷が原因でエンジン始動ができない場合は、応急処置が困難なため、レッカーを依頼してバイクショップで修理してもらいましょう。

8. バイクの引き起こしの練習は必要?

いざというとき慌てず自分のバイクを起こすために練習は必要です。教習所のバイクと自分のバイクが違う車種の場合はなおさらです。

自分のバイクで練習するのは抵抗があると思いますが、事前に必要な準備をして引き起こしの練習をしておくことをオススメします。

練習する場合の注意点

①事前準備

  • 車や人が通らない安全な練習場所を確保する
  • 接地する箇所に養生テープを貼る(傷つき防止)
  • マット、毛布などの緩衝材新聞紙などを敷く(車体の傷つき防止、ガソリン・オイルなどによる路面汚損防止になります)
  • ガソリンタンクをなるべく空にして漏れを防ぐ
  • 補助者を頼んでおく(起こせないとき、危険なときのために大切です)

②練習中の注意点

  • グローブ、ブーツを着用する(怪我防止、スリップ防止のため必ず着用する)
  • 正しい姿勢で練習すること(腰痛、ギックリ腰などならないよう猫背はNG)
  • 下敷きにならない(大怪我の原因です。補助者をおいてください)

まとめ

バイク初心者の方やビッグバイクに乗り換えて日の浅い方にとって立ちゴケとそれに伴う引き起こしは避けては通れないことですよね?

事態が収束後はセンタースタンドがけ・引き起こし・取り回しのレッスンなども実施する予定ですので是非ご参加ください!

転ばないのが一番なのですが、もし転んでしまっても焦らず、まずは自分の安全確保と深呼吸をしてからバイクを起こしてあげてください。

起こせないときは勇気を出して、手を上げて助けを求めてください。恥ずかしいことではありません。大丈夫!優しい人やライダーが必ず助けてくれますから。

白バイやツアラーに装備されているサイドバンパー(セーフティーバー)は万一の転倒時に身体を守ってくれるだけでなく、転倒時の角度が浅くなり引き起こしがやり易くなります。

装着できる車種は限定されますが、怪我防止や引き起こし時のことを考慮して装着することはとても有効だと思います。

【白バイ秘話】MOTO COP YUTAの引き起こし訓練回顧録

白バイ隊員を希望する若い警察官の第一関門である白バイ乗務員講習や、念願叶って交通機動隊に異動すると「地獄の白バイ新隊員訓練」が待っています!

僕も今から34年前に白バイ新隊員の同期5名と新隊員訓練を受けました。白バイ訓練は早朝から隊庭での車両整備に始まり、訓練場に移動してからは準備体操、ランニング、筋トレ、訓練初期はセンタースタンド掛け、引き起こし、取り回し(長距離押し走り)といった基本訓練を徹底的に行います。訓練車両は確かホンダCB550PとCB650Pだったと思います。

ひとつひとつが早く確実に出来るようになると今度は競争が行われます。倒れている白バイを引き起こして坂道を押し走り、坂の上に置かれたパイロンで狭路のUターン、坂道下りてセンタースタンド掛け競争を行います。負けると腕立て伏せをして居残りでもう一回…。警察官は普段から柔道、剣道、逮捕術、駅伝大会訓練などで鍛えているのですが本当に泣きが入るほど厳しい訓練でした。

その基本訓練が終わってから、やっと白バイに跨ることが出来るのですが、まだエンジンをかけて颯爽と走るのではなく、センタースタンドをかけた白バイのステップの上でシートからお尻を浮かせた状態でのニーグリップ訓練!両手はハンドルではなく後ろで組んで静止…しばらくすると汗はダラダラ、膝はガクガク、足はプルプルで思わずシートに座ると鬼の指導員の竹刀がケツに炸裂!!

それらが完璧にこなせるようになって、やっと0字・8字走行、パイロンスラローム、一本橋、千鳥バランス、コース走行、階段上り下りなどを経て、路上訓練へと進むことができるのです。まさに白バイ虎の穴!古すぎて何言ってるのか分かりませんね!スミマセン。⤵︎

僕の白バイ乗りとしての始まり…今となっては古き良き時代の懐かしい思い出です。

おすすめの記事